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【コラム】戦国武将に学ぶマネジメントに必要な意思決定

歴史が好きな経営者や管理職の人は多いです。その一方、学校教育で「歴史は暗記物」と無理やり覚えさせられ、苦手意識を持ち続けている人も少なくありません。しかし本当に必要なことは、歴史に関する知識を単に得るのではなく、あなたのビジネスに生かすことではないでしょうか。本稿では、さまざまな戦国時代の戦いにおいて、歴史に関する知識を単に得るのではなく、「自分だったらどうするだろうか?」というビジネス視点を養う考え方を紹介します。

  • 桶狭間の戦いから見る評価方法

たとえば、織田信長と今川義元の桶狭間の戦い。結果はみなさんのご存じの通り、織田の勝利で終わります。その織田方の武将の中に、手柄を立てた者が5人います。その中で、あなたは誰に一番の手柄を与えようと考えますか。また、その理由は何でしょうか。この問いをすると、多くの方は一様に考え込んでしまいます。正解を探そうとやっきになり、自分を見失ってしまう方もいます。

この場合、本当に大切なことは、誰に与えるのかではなく、何が本当の目的なのかをしっかりと見定めることです。そして、目的達成のためのベストの手段を見つけ出すことなのです。

日本の学校教育や最近のマスコミの風潮では「Yes」「No」をわかりやすくすることが良いことのように捉えられがちです。しかし、ビジネスの現場では結果や可能性重視で白黒はっきりさせる前に、まず目的を明確にすることの方が大切です。複雑な現実はそう簡単に割り切れるものではなく、たくさんの迷いと混乱が生まれます。こうした困難な状況を乗り切るためには、しっかりと目的思考で考え抜くことです。

桶狭間の戦いの場合、「目的達成に一番貢献した者が、一番多くの手柄を得られる」ようにしなければなりません。そうしなければ、仲間割れして組織が崩壊に向かってしまうからです。そうならないためには、まず目的と評価基準を先に公表していなければなりません。これは今のビジネスにも生かせる考えではないでしょうか。これこそ、桶狭間の戦いから私たちが学ぶべき「本当の教訓」なのです。

  • 中国大返しから見る意思決定の行い方

次に、羽柴秀吉の中国大返しを題材に考えてみます。これは、備中高松城の戦い(岡山県)にあった秀吉が、本能寺の変で織田信長の死を知るや、速やかに毛利と和睦し、明智光秀討伐(山崎の戦い)のために京に向けて全軍を取って返すという、10日間で200㎞のスピード行軍したものです。この時の秀吉の目的は何だったのかを考えてみましょう。

 

現代に生きる私たちは結果とその後の展開を知っています。でも、それは必然だったのではなく、秀吉がそうした状況を巧みに「作り出した」からなのです。目的がしっかりしていたからこそ、秀吉は勝利し、その後天下を手中にしたのです。

これを踏まえて、秀吉の目的を実現するための手段を、最低5つ考えてみましょう。桶狭間同様、秀吉がどうしたかという知識を問うのではなく、あなただったらどうするかをしっかりと考えるものです。秀吉ならではの奇想天外なアイデアだけでなく、21世紀のビジネスパーソンならではの発想が出てくればさらに説得力が増すことでしょう。秀吉の行動と勝利は、困難な状況における当事者としての意思決定をどのように行うかの、格好の教訓を与えてくれます。

また、明智光秀や柴田勝家などのように敗者とされている武将たちも、実はかなりの決断と行動を行っていたことがわかっています。結果論で物事を見るのは簡単ですが、改めて戦国時代の戦いを見直すといいかもしれません。

  • AIに負けない人間になるには

最近はAI(人工知能)が大きく進化することで、ビジネスにも大きな変化が訪れることに対し、期待と不安が入り交じった記事やSNS投稿が増えています。AIができることは、「過去の経験を大量に記憶し、そのトレンド上の推移を予測できること」。つまり、「過去はこうだったから未来はこうなる」という予測をし、人間が及びもつかない強みを発揮するのです。これは歴史に関する知識を蓄えることとほぼ同じ意味合いです。

一方人間にしかできないことは、「目的をしっかり見据えて、その達成のために新たな変化を想像し、創造できること」です。結果が出たことを後知恵によって講釈するのではなく、不確実な状況下であっても、目的を達成するために知恵を絞り出し、ビジネスにしていくのです。

今後求められる人材育成とは、過去の成功例をたくさん記憶しているMBA型秀才ではなく、困難な状況下でも最適解を導き出し、人々を巻き込んで目的を達成できる人を育てることです。そのためには、歴史を題材としつつ「自分だったらどうするだろうか」と考えるトレーニングを重ねることが重要になります。実は、これはかのナポレオンが行っていた思考トレーニング方法なのです。

知識やハウツーを学ぶことも大切ですが、それだけではAIに勝ることはできません。AIを使いこなすには、主体者意識を持ち、不確実な状況に立ち向かって実現可能なアイデアを絞り出すことです。そして戦国武将から学ぶべきことは、成功事例を鵜呑みにするのではなく、生き残りをかけた厳しい状況下で繰り広げられた意思決定を、21世紀に生かす視点から考え直してみることではないでしょうか。

2018/04/24

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